M&Aをわかりやすく解説

M&Aとは?~調剤薬局M&Aの基本をわかりやすく解説します!~

M&Aとは

M&A(エムアンドエー)とは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略です。M&Aの意味は、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。M&Aの広義の意味として、企業の合併・買収だけでなく、提携までを含める場合もあります。一般的にM&Aというと買収の意味合いが強く、その中でもよく行われるのが株式譲渡と事業譲渡です。

M&A

M&Aをする理由は

M&Aと聞くと大会社や海外の会社の話のように聞こえますが、日本でも中小企業のM&Aは活発になってきています。
弊社の売り手様からも自分の会社が売れるかどうかわからない、という不安をいただくことがありますが、これまで培ってきたノウハウや営業ルートなどの見えない財産(のれん)や雇っているスタッフさん(有形資産)などに魅力を感じる買い手様も多くいらっしゃいます。
実際に、弊社のアンケートやヒアリングの結果から、売り手様はどのような理由で譲渡されていて、買い手様はどんな目的で譲受されているのかをご説明いたします。

売り手企業様

以下の図の弊社の売り手様からのアンケート結果からもわかるように、売り手様にはさまざまな悩みがあり、それを解決するためにM&Aを実施されたことがわかります。

弊社売り手様アンケートより

弊社売り手様アンケートより

これまではM&Aや事業譲渡というと後継者不足というイメージがあったかと思いますが、最近は売却の資金を使って新ビジネスを始めるため、企業を存続・成長させるためのM&Aも増えてきています。

買い手様の譲受目的

以下のグラフからもわかるようにドミナント強化の理由がとても多いです。管理部門などを統合することで効率化を図っている企業が多いことが見受けられます。またM&Aでノウハウや許可を取得して新規参入を図る企業もいらっしゃいます。

弊社買い手様ヒアリングより

弊社買い手様ヒアリングより

M&Aをいつから検討始めるべき?

弊社買い手様ヒアリングより

弊社で実際に譲渡をされた売り手様が検討を始めた時期は1年未満が66%となりました。
一方で少数ではありますが、5年以上検討されている方もいらっしゃいます。
成長戦略のため、リタイアのためなど目的はいろいろあるかと思いますが、良い状態での譲渡をしたい、という場合は早めに検討を始めることをお勧めします。

M&Aの進め方とスケジュール

M&Aの方法としては、仲介を利用する方法と、売り手と買い手のそれぞれが別のFA(ファイナンシャルアドバイザー)を利用する方法、譲渡・譲受企業が直接やり取りをする相対の3つがあります。
ここでは中小企業のM&Aの大部分が該当する仲介を利用して実施する場合の流れを説明します。
※おおまかな流れは相対でも同様に進みますが、間を取り持ち進めていく仲介がいない場合は、交渉上のパワーバランスが弱い側が一方的に損をするケースや、ディールの最終段階で条件を大きく変えられてしまうケースなども多く、注意が必要です。

弊社買い手様ヒアリングより

上記の期間は目安です。最短でStep08の契約の締結までを1か月で行うケースもございます。

M&Aをするための費用は?

M&Aを実施するためにはどのくらいかかるのでしょうか?
費用というと仲介会社への手数料が思い浮かぶと思いますが、それだけではありません。

売り手にかかる費用
●弁護士への報酬
●契約書や計画書の印紙代
●M&A仲介手数料

買い手にかかる費用
●運転資金(事業譲渡の場合)
●敷金など(事業譲渡の場合)
●弁護士への報酬 買収監査(DD)の費用
●契約書や計画書の印紙代
●登記にかかる費用
●M&A仲介手数料

M&A仲介手数料とは?

この仲介手数料が良くわからない、というお話を聞きますので、すこし詳しく記載させていただきます。一般的にM&A仲介費用にはいくつかあります。
●着手金
●中間報酬
●月額報酬
●成功報酬

またこれ以外にも最低報酬額というものが設定されている企業が多く、算定した報酬が最低報酬額よりも低い場合は最低報酬額を支払う、というスキームになっています。
ただし、業界で決まった規定はないため、中小企業向けのM&A仲介会社では着手金、中間報酬、月額報酬をとらない、または一部のみという企業もあります。

成功報酬はどのように算出される?

多くのM&A会社が採用する報酬体系がレーマン方式とよばれる算出方法です。このレーマン方式は日本だけでなく、アメリカ・イギリスなど世界中で使われる算出方法になります。

レーマン方式は、「基準となる価額」に応じて変動する各階層の「乗じる割合」を、各階層の「基準となる価額」に該当する各部分にそれぞれ乗じた金額を合算して、報酬を算定する手法です。
さらに仲介会社によっては、最低報酬額を設定している場合があります。
最低報酬金額は500万円~2,500万円にて設定されていることが多いです。
レーマン方式がどのようになっているかは仲介会社によって異なるため、契約する際は何に対して成功報酬料率を定めているのか、しっかりと確認することが重要です。
弊社のレートは以下のようになっています。

取引対価
料率
0円超~2,000万円以下の部分
10%
2,000万円超~4,000万円以下の部分
9%
4,000万円超~6,000万円以下の部分
8%
6,000万円超~8,000万円以下の部分
7%
8,000万円超~1億円以下の部分
6%
1億円超~5億円以下の部分
5%
5億円超~10億円以下の部分
4%
10億円超~50億円以下の部分
3%
50億円超~100億円以下の部分
2%
100億円超
1%

このレートの金額以外に仲介会社によっては500万円~2500万円最低報酬額が設定されているケースが多いので、仲介会社様への確認が必要になります。
弊社は譲渡企業様への最低報酬額の設定をしておりません。成約基本料100万円と上記の取引対価に応じた手数料のみのお支払いとなります。詳しい料金設定はこちらから

レーマン方式の具体例

買収価格が1000万円の場合
1000万x10% = 100万円
※ただし最低報酬額500万が設定されている場合、この金額は最低報酬額を下回っているため、手数料は100万円ではなく500万円になります。

買収価格が6000万円の場合
2000万円×10%(2000万円以下の部分) = 200万
2000万円×9%(2000万円を超え4000万円以下の部分) = 180万
1000万円×8%(4000万円を超え6,000万円以下の部分) = 160万
合計:540万円(税抜)
※ただし最低報酬額1千万が設定されている場合、この金額は最低報酬額を下回っているため、手数料は540万円ではなく1千万円になります。最低報酬額が500万円の場合は超えているので540万円です。

調剤業界のM&Aは?

調剤薬局の市場概況と今後は?
調剤薬局の市場は、最近まで積極的な新規出店が盛んで、2019年には6万件を突破しました(厚生労働省調べ)。
また業界の拡大に伴って店舗数を拡大するためのM&Aも積極的に行われ、その他新たな調剤報酬の枠組みへの対応、在宅医療への展開、介護施設にいる患者への調剤などで処方箋の処理件数の増加など、業界全体として好調をキープしてきました。しかし、毎年の薬価改定および2年に1度調剤報酬の改定が行われている中、昨今では、業界構造に大きな変化を強要しており、業界全体として業績が伸び悩み始めています。
調剤薬局としての新規出店は続いていますが、その伸びは年々鈍化しており、業界を牽引する大手チェーンを除けば、その成長は減退し始めていると言えます。例えば薬局数6万件を突破した2019年は60,171軒、2020年は60,951軒と微増になっています。2010年を除き、2000年以降は薬局数が緩やかに増加し続けていますが、ここ数年は増加ペースが落ちつつあります。

かかりつけ薬剤師・薬局の推進

厚生労働省は、地域医療の強化を図るために、かかりつけの薬剤師や調剤薬局の増加を推進しています。この目的は、調剤薬局の周辺に住む人たちの健康を薬によって管理することです。
かかりつけの薬剤師・調剤薬局に処方を任せれば、薬の服用による経過観察や薬の重複などの管理ができます。夜間・休日・在宅患者の電話対応や、緊急時の調剤などにも対応が可能です。
上記を踏まえると、近い将来に調剤薬局業界が衰退する可能性は低いといえます。

薬局グループは収益減を予想

近年の調剤報酬改定を簡単にまとめると、特定の処方箋を受け付ける門前薬局や、薬局グループを形成してる企業には、低い調剤報酬が適用されるようになりました。調剤薬局ごとに定められた調剤基本料により、薬局が得られる報酬に差が生じていたためです。

調剤報酬点数表(令和2年4月1日施行)より、「調剤基本料2」を例に挙げます。これに該当するのは、処方箋受付回数および集中率が、以下のいずれかに該当する保険薬局です。

月4,000回超かつ集中率70%超
月2,000回超かつ集中率85%超
月1,800回超かつ集中率95%超
特定の保険医療機関に係る処方箋が月4,000回超

出典:日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和2年4月1日施行)」
上記の条件に当てはまる薬局グループでは収益の落ち込みが予想されるため、収益を維持するための対策に追われている状況です。薬局グループが特定の地域の店舗や採算の取れない店舗をM&Aで譲渡するケースも見られます。こうした譲渡案件の増加により市場価格への影響も現れ始めています。

調剤薬局のM&A動向は?

調剤薬局業界の見通しの影響は、すでに業界内で急増するM&Aという形で現れています。もともとM&Aを通じた規模拡大の動きがある業界ですが、近年ではこれまで以上に急速に業界の再編が起こっています。M&Aを利用することにより、規模拡大だけでなくもともと地域で働いている経験豊富な資格者を獲得することができるため、非常に効率的な経営手法としてM&Aが行われ始めています。
また調剤薬局の大半を占める中小規模薬局では、従業員数も少なく、経営者の高齢化も大きな課題となっており、従業員の雇用確保等のためにM&Aを通じた事業承継を検討するケースも急増しています。

―主な事例―
-2022年5月、業界最大手のアインホールディングスは、株式会社ファーマシィホールディングスの全株式を取得し、子会社化しました。ファーマシィホールディングスは、グループにおいて約100軒の薬局を全国展開しており、新規出店とM&Aを活用した事業拡大を図るアインホールディングスにとって、M&Aの絶好の対象といえます。このM&Aにより、アインホールディングスの薬局数は1,200軒を超えました。

-2020年1月、株式会社ココカラファインは、神奈川県で2店舗の薬局を展開する有限会社薬宝商事の全株式を取得し、子会社化しました。ココカラファインはこれ以外にも、有限会社フライト(北海道、5店舗)や有限会社寿(大阪府、1店舗)など、地域に根ざした企業の子会社化に力を入れています。これらのM&Aにより、各地域におけるドミナント戦略を深耕し、その地域でのヘルスケアネットワークの構築を推進していく方針です。

-2016年10月、業界3位のクオール株式会社(現:クオールホールディングス株式会社)が、株式会社共栄堂の全株式を取得し、子会社化しました。共栄堂は、新潟県を中心として87店舗を展開していた調剤薬局であり、これまで手薄だったエリアをカバーするのが狙いだったと想定されます。

-2013年10月、業界2位の日本調剤株式会社が、長谷堂製薬株式会社の株式の過半数を取得し、買収したと発表しました。日本調剤の強みであるジェネリック医薬品市場における競争力強化をさらに高めることを狙ったものだったようです。

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